08 4月 2014

ロシアのストリートアート

2013年9月より2014年6月まで、ロシア・サンクトペテルブルグにて生活しています。そうした生活の下でしか見えてこないであろう、ロシアのストリートアートにテーマを絞ってご紹介します。
以下写真が多数ですので、開く際には注意してください。


<「公式」篇>
ストリートアートは、本来アンダーグラウンド文化・非公式文化に属するものですが、ここペテルブルグでは、公式の(=建物の所有者に許可を得た)ストリートアートというものが存在します。それは本来的な意味ではストリートアートとは言えないかもしれませんが、とりあえずご紹介します。
こうした壁画・グラフィティ群は、ペテルブルグ市の北部ペトログラード地区に集中しています。地下鉄の(青)ペトログラーツカヤまたは(紫)チカローフスカヤ・スポルチーヴナヤを中心とした地域です。またこの地区は、戦前からのモダン建築が密集しており、建築という観点でも町歩きを楽しめます。ペテルブルグ観光の際、半日あまったな〜という方には、迷わずこの地区の散歩をお勧めします。(後ほど建築をご紹介する記事も作ろうかと思います)

①スケーターの壁画
ул. Введенская, 9、2014年3月

②「ロシアの飛行士たちへ捧ぐ」
ул. Пионерская, 22、2014年3月

③ひまわりのグラフィティ
ул. Глухая Зелёнина沿い、2014年4月



<非公式篇>
ここで挙げるのは、より「ストリートアート」っぽい、DIYな雰囲気のあるものがメインになります。先の<公式篇>とは、色数・規模などの点で区別されます。

①ペテルブルグのバンクシー
пр. Непокорённых沿い、2014年2月
(後日判明しましたが、これはなにか紙を糊で壁に貼りつけたものであったので、1ヶ月後再訪した際には8割ほど失われていました。残念です。)

②「ノスタルジヤ」
ペトログラード地区、2014年3月
場所をメモするのをわすれてしまいました。よくよく見ると、フレームの一つ一つに古い家族写真のようなモチーフが描き込まれていて、ノスタルジアな(タルコフスキーっぽい)雰囲気があり、一目で気に入ってしまいました。スケールからすると<公式篇>に入れても遜色ないですが、雰囲気としては<非公式>の部類でしょう。

③「Народ плох. 人民はひどいもんだ」
2013年12月
落書きの部類。工事現場にあったのですぐに消えてしまうでしょう。作者の溜め息が感じ取れるよう。

④「宇宙はもう無い」
これも落書きの部類。メトロ〜大学寮の間は、落書きが書いては消され書いては消される激戦区(?)です。これも一週間で消えてしまいましたが、最高傑作だと思っています。シリーズ物で、一つめは
 「宇宙はもう無い」と書いてあり、二枚目には「жи есть...(カフカス系の若者のスラングで「えぇっと」という意味だが、直訳すると「жиは存在する」となり、「宇宙」「神」の喪失と対照的な印象をもたらします。)」、三枚目には「でも、神はいない」と書いてあります。さらに4枚めに「プーチン!!!」の文字で幕を閉じる、という感動ものだったのですが、撮影をしていると壮健な若者の集団が近づいてきたのであえなく断念。二枚目はそのせいでぶれています。

⑤ステッカーコレクション
「Space Invader Against Racism」
наб. Адмиралтейского канала沿い、2013年9月

「少年」
2014年3月
現地人によると、こうした柄のステッカーは、Дима Карандаш(鉛筆ヂーマ)というアーティストの手によるものだ、ということ。詳細は調査中です。



<番外編>@カリーニングラード
2014年2月下旬にカリーニングラードを訪れました。ほんとうに面白い町です。「ケーニヒスベルクの遺産」を、もしかしたら期待する方がいらっしゃるかもしれませんが、そういう人はまず行かないほうがいい。カリーニングラードに歴史はありません。ソヴィエト軍が一度すべて更地にしてしまったからです。カリーニングラードではすべてが新しい。だがすべてが死につつあり、抜け殻だけが異様な存在感を誇っている。どこかおかしい、やたらパワーだけを感じる町です。

①「自由意志と理性」
朝一番に見てやばいな、と思ったストリートアートです。

②詩の街
カリーニングラードは近年経済的に発展しており、街も穏やかな雰囲気がありました(が、ところどころ「使用済み」注射器や女性もの下着などが落ちてはいるのですが)。ストリートボーイたちも、詩を書く。教養の高さです。ちゃんと韻を踏んでいる。
訳:
農民にさえも自分の小屋はあったのに/今じゃ至るところ自由体制の部屋だらけ/ぼくらはシステムにねじ込まれて、彫刻はめちゃめちゃにされる.../押さえつけられたバネは跳ね飛ぶことができるだろうか?
できることはできるんだ。問題はやりたいのかどうかだ

訳:
知ってるか、光子がどこからやってくるのか?/その光子は何百リットルにもなって小さなランプから降り注ぐ.../光の届かぬ闇の中でうめき声が響き渡っていて/そこでは一本のマッチが戦闘ひとつと同等だ!/悪事の、忘却の、隷従の暗やみのなかから/ぼくらを照らすのは星々ではない、賢さの火花だ/それは光と同じように、どのようにしてやってくるのかはわからない/だが、闇とはぼくらの純粋な理性にすぎないのだ! (スコテイノス)

いま初めて訳してみて、特に後者にものすごく感動してしまったのは、カリーニングラード(ケーニヒスベルク)はカントの街であって、彼には星々と理性に関する有名なあの文句があったよな、ということが思い起こされるからです。

スコテイノス(Скотейнос)との署名が下部にあり、検索してみたら、いました!Михайло Скотейнос氏、カリーニングラードでストリート詩を書く方のようで、その筋にはそれなりに有名みたいです。以下のサイトで他の詩が読めます。
http://www.stihi.ru/avtor/cmexxx64

またいいのがあれば更新していきたいと思います。ありがとうございました。

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