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5月, 2014の投稿を表示しています

文字21

ロシアには「舌サラダ」といって牛やら豚やらのタンが入ったサラダがありますが、咀嚼にいそしむわたしの口のなかで、ときおり野菜に紛れて妙に生々しいのがあって、そういうのを食べると、フレンチな接吻を行為したことがなくてもそれを疑似体験できるはずですから、それ食って、人肉使用・営業停止を伝える明日の新聞を想起して、舌を転がしながら、へらへら笑ってろ

文字20

30度近くを記録した5月25日のロシアでアイス祭りというイベントがあって、隅っこのほうでアイスクリームを食うなどしていたら、なにかこう憂いのある目をした女の子が近づいてきて、わたしの目を見て2回ほど頷き、なにを諒解したものか、わたしに白い大きな風船を託してどこかへ消えていってしまったものですから、思わず手を差し伸べてしまったわたしとしては、アイスクリームと白い大きな風船とを抱え込んだまま、途方に暮れるほかなかったのです。

文字19

「オプティミストかペシミストか」という問題は、ぼくにとっては断然「自分が首を吊るためのロープを天井に結びつけるとき、鼻唄を歌えるかどうか」という問題と同義なのです

文字18

いえにかえるみちで 鳩をみつけたので いっぴきえらんで むちゅうでほおばっていると おまへが怒ったかおで ちかづいてくるのだ わたくしがなにかしただろうか きまりのわるいかおを ぢめんにむけて ちしぶきのながれるままにしていると おまへはいうのだ * おまへは呵々とわらいながらいうのだ ひとなみの欲望がおまへにあるかと ある、なくてたまるか わたくしはさけぶが おまへはすでになく ほかのだれもきいていない * そのための鳩食いだ うまくもない鳩を 腐った魚の臭いがするあの鳩を そのために食っていたのだ *