1/8-11「BowieConference」
新年あけて1月8日から11日にかけての四日間、ペテルブルグ市内で「ボウイ・コンフェレンス」というよくわからない催しがありました。デヴィッド・ボウイについて話し合う「ポピュラー・サイエンス的な」コンフェレンスとのこと。
当初は、「へぇこういうのがあるのかー」という純粋な興味だけで参加申し込みしていたはずだったのですが、4日ころに主催者側からコンタクトがあり、曰く「お前も発表しないか」ということ。おそらく「こんなところに日本人が来やがる!やらせてみるか!」みたいな思惑だったのでしょうが、わたしはニューアルバム『The Next Day』の興奮冷めやらぬままよくよく考えることもせず「オッケー!」と即答してしまいました。
ということで11日に発表、思いもよらず深く関わることになってしまったのでした(最初は8日に発表しろと言われてたが食い下がりました)。
(1日目の会場、エタジーのイベント風景。案外アングラな雰囲気。テンパリ具合を察してほしい。)
(参考)
公式WordPress:http://bowieconference.wordpress.com
その他コンフェレンスについて各メディア:
http://www.colta.ru/articles/music_modern/1709
http://paperpaper.ru/main-of-bowie/
http://rustoria.ru/post/devida-boui-razobrali-na-chasti-tvorchestvo-kostyumy-kosmos/#1
このコンフェレンスはRefLector Society(2013年創設、旧称James Joyce Academy)という、主にイギリスの現代文化に関する諸イベントのオーガナイザーが主催のようです。といってもまだこれといった実績のない、駆け出しの団体のようでありますが。
プログラムは次のような感じ。
8水
プレゼンテーション① @アートセンター「エタジー」
9木
プレゼンテーション② @ハロー・ホステル
10金
映画上映 @映画館「キノ・ベズ・ポプコーナ(ポップコーンなしの映画館)」
『ラビリンス』『地球に落ちてきた男』『Glass Spider(コンサート)』
11土
プレゼンテーション③ @ハロー・ホステル
夜:「ボウイ・パーティー」なる仮装パーティー(?)
プレゼンテーションの発表者は、主にペテルブルグ在住のひと(年齢は10代〜3,40代、性別も男・女・マイノリティーと多様)がメインでしたが、モスクワ・サマラ・エカテリンブルグからも1名ずつの参加がありました。(うちエカテリンブルグからの参加者は前日に消えてしまったそう。よくわかりませんが)
参加者は、ぼくが出席したなかでは、8日に20人ほど、11日に10人ほど、とそこまで大きな規模ではありませんでしたが、このような限定したテーマのコンフェレンスにそのくらい集まるのか、と逆に驚きでした。(日本だともうちょっと集まるかもしれないですね、なぜか人気だし。) どうせ内輪ノリみたいな感じなんだろうなあと思って行きましたが、そうとも限らず、いろいろなところからひとが集まっているみたいでした。
発表のテーマも多岐に渡り、文学的側面(「ボウイはどれだけナボコフ的か」「ボウイとT.S.エリオット」「ボウイの歌詞における宇宙のテーマ」)、モード的側面(「ぼくのズボンが世界を変えた」「ボウイの"スター性"」)、ジェンダー的側面(「ボウイ—ジェンダーにおける遊戯」)など。
それぞれの発表は、専門的なものは少なかったとは言え、非常に面白かったです。
まずはジェンダーについてのV・ワシナさんの発表ですが、これは本人がマイノリティ当事者としての立場から発表をしていて、非常に刺激的でした。ボウイの(特に初期における)性の区別を曖昧にするようなファッション・言動についてのレポート。発表に移る前に主催者が「そもそもロシアではこういう発表をするのが違法になるかどうか、ちょっとわかりませんけど・・・」という前置きをしていたのも、ロシアならでは(2013年7月から「同性愛プロパガンダ禁止法」が施行されています)。
あとイベントの主催者E・ストリャロワさんによる二つのプレゼン「ボウイとナボコフ」(8日)、「ボウイとエリオット」(11日)もよかった。ニューアルバム『The Next Day』収録の「I'd Rather Be High」とナボコフ『賜物 Дар』との関連、同曲とエリオット「The Love Song of J. Alfred Prufrock」との関連という話を熱く語っていました。
エリオット原文:http://people.virginia.edu/~sfr/enam312/prufrock.html
ストリャロワさんの発表風景(11日)
そんななかでぼくは「デヴィッド・ボウイと日本」というなんだか漠然としたテーマで突っ込んで行きました。
分量はA4で1枚+α、写真が20枚くらいで、たぶん20分くらいの発表だったと思います。
内容的には
①ファッション面:山本寛斎・歌舞伎・ヴィジュアル系(逆輸入)
②鋤田正義
③『戦場のメリークリスマス』
の3つに絞って話をしました。そもそも『戦場の〜』は、この発表をすると決まってから初めてみたので、まずこんな話をする資格そのものがないはずなんですが。
全員ロシア人の前で、べつに専門でもない領域について話をする、みなさんも一度はやってみればいいと思いますが、ほんとうに自殺行為以外の何ものでもないし、吐いても仕方ないほどの緊張感があります。
ひどいロシア語・薄い内容だったにも関わらず、最後に観客全員から矢のように質問が投げつけられ、とどめを刺されました。しかしロシア的には、質問の多さで発表の質が決まるとされているので、ほんとうに嬉しかった。答えられませんでしたけども。
わたしの発表風景。死にたい。
これを終えてほんとうにこう度胸がついた、という確かな実感があります、が、「もう一度やれ」と言われたら、胃の中のものを全部吐き出して後ろを見ずに全力で逃げ出すだろう、そういう直感もあります。
ほんとうに疲れましたが、他に得がたい経験をしたことは誇りに思います。
誘いをかけてくれた主催者に心から感謝しています・・・。
当初は、「へぇこういうのがあるのかー」という純粋な興味だけで参加申し込みしていたはずだったのですが、4日ころに主催者側からコンタクトがあり、曰く「お前も発表しないか」ということ。おそらく「こんなところに日本人が来やがる!やらせてみるか!」みたいな思惑だったのでしょうが、わたしはニューアルバム『The Next Day』の興奮冷めやらぬままよくよく考えることもせず「オッケー!」と即答してしまいました。
ということで11日に発表、思いもよらず深く関わることになってしまったのでした(最初は8日に発表しろと言われてたが食い下がりました)。
(1日目の会場、エタジーのイベント風景。案外アングラな雰囲気。テンパリ具合を察してほしい。)
(参考)
公式WordPress:http://bowieconference.wordpress.com
その他コンフェレンスについて各メディア:
http://www.colta.ru/articles/music_modern/1709
http://paperpaper.ru/main-of-bowie/
http://rustoria.ru/post/devida-boui-razobrali-na-chasti-tvorchestvo-kostyumy-kosmos/#1
このコンフェレンスはRefLector Society(2013年創設、旧称James Joyce Academy)という、主にイギリスの現代文化に関する諸イベントのオーガナイザーが主催のようです。といってもまだこれといった実績のない、駆け出しの団体のようでありますが。
プログラムは次のような感じ。
8水
プレゼンテーション① @アートセンター「エタジー」
9木
プレゼンテーション② @ハロー・ホステル
10金
映画上映 @映画館「キノ・ベズ・ポプコーナ(ポップコーンなしの映画館)」
『ラビリンス』『地球に落ちてきた男』『Glass Spider(コンサート)』
11土
プレゼンテーション③ @ハロー・ホステル
夜:「ボウイ・パーティー」なる仮装パーティー(?)
プレゼンテーションの発表者は、主にペテルブルグ在住のひと(年齢は10代〜3,40代、性別も男・女・マイノリティーと多様)がメインでしたが、モスクワ・サマラ・エカテリンブルグからも1名ずつの参加がありました。(うちエカテリンブルグからの参加者は前日に消えてしまったそう。よくわかりませんが)
参加者は、ぼくが出席したなかでは、8日に20人ほど、11日に10人ほど、とそこまで大きな規模ではありませんでしたが、このような限定したテーマのコンフェレンスにそのくらい集まるのか、と逆に驚きでした。(日本だともうちょっと集まるかもしれないですね、なぜか人気だし。) どうせ内輪ノリみたいな感じなんだろうなあと思って行きましたが、そうとも限らず、いろいろなところからひとが集まっているみたいでした。
発表のテーマも多岐に渡り、文学的側面(「ボウイはどれだけナボコフ的か」「ボウイとT.S.エリオット」「ボウイの歌詞における宇宙のテーマ」)、モード的側面(「ぼくのズボンが世界を変えた」「ボウイの"スター性"」)、ジェンダー的側面(「ボウイ—ジェンダーにおける遊戯」)など。
それぞれの発表は、専門的なものは少なかったとは言え、非常に面白かったです。
まずはジェンダーについてのV・ワシナさんの発表ですが、これは本人がマイノリティ当事者としての立場から発表をしていて、非常に刺激的でした。ボウイの(特に初期における)性の区別を曖昧にするようなファッション・言動についてのレポート。発表に移る前に主催者が「そもそもロシアではこういう発表をするのが違法になるかどうか、ちょっとわかりませんけど・・・」という前置きをしていたのも、ロシアならでは(2013年7月から「同性愛プロパガンダ禁止法」が施行されています)。
あとイベントの主催者E・ストリャロワさんによる二つのプレゼン「ボウイとナボコフ」(8日)、「ボウイとエリオット」(11日)もよかった。ニューアルバム『The Next Day』収録の「I'd Rather Be High」とナボコフ『賜物 Дар』との関連、同曲とエリオット「The Love Song of J. Alfred Prufrock」との関連という話を熱く語っていました。
ストリャロワさんの発表風景(11日)
そんななかでぼくは「デヴィッド・ボウイと日本」というなんだか漠然としたテーマで突っ込んで行きました。
分量はA4で1枚+α、写真が20枚くらいで、たぶん20分くらいの発表だったと思います。
内容的には
①ファッション面:山本寛斎・歌舞伎・ヴィジュアル系(逆輸入)
②鋤田正義
③『戦場のメリークリスマス』
の3つに絞って話をしました。そもそも『戦場の〜』は、この発表をすると決まってから初めてみたので、まずこんな話をする資格そのものがないはずなんですが。
全員ロシア人の前で、べつに専門でもない領域について話をする、みなさんも一度はやってみればいいと思いますが、ほんとうに自殺行為以外の何ものでもないし、吐いても仕方ないほどの緊張感があります。
ひどいロシア語・薄い内容だったにも関わらず、最後に観客全員から矢のように質問が投げつけられ、とどめを刺されました。しかしロシア的には、質問の多さで発表の質が決まるとされているので、ほんとうに嬉しかった。答えられませんでしたけども。
わたしの発表風景。死にたい。
これを終えてほんとうにこう度胸がついた、という確かな実感があります、が、「もう一度やれ」と言われたら、胃の中のものを全部吐き出して後ろを見ずに全力で逃げ出すだろう、そういう直感もあります。
ほんとうに疲れましたが、他に得がたい経験をしたことは誇りに思います。
誘いをかけてくれた主催者に心から感謝しています・・・。
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