31 12月 2016

ロシア現代美術まとめ

今年自分に課したテーマ[①コスミズム界隈の地図を把握すること(ロシア思想の概略をさらうこと)。②ソ連崩壊前後(80-90年代)のアート、思想、音楽界隈の地図をつくること。③現代詩人リストの更新、訳の継続。]のうち、この記事では②についてさらっておこうと思います(ただし主に美術について)。

これに関しては自分一人ではとてもかなわなかった。10月頃だったかと思いますが、「鉄のカーテンの時代の反社会的なソビエトアート」というレクチャーシリーズの存在を知りました(確かtwitter上で本郷のMitteさんがリツイートしてくださっていたのだと思います)。7月に第一回があったようで、毎月第四木曜日に開催されています。講師はNadia Kozulinaさん、東京在住のグラフィックデザイナーの方です。私は11月の第5回に初めて参加することができましたが、内容と雰囲気を含めトータルで素晴らしかったので、毎回参加しようと心に決めました。

社会に出ながらどうやってロシアとつながり続けていられるだろう? という問いを自分に課しながらいろいろな形で試行を、この1年間やってきました。そのなかで一つのヴァリアントとして思いついたのが、「大学をもう一度やる(いま、ここで)」という発想です。正直、いまの制度としての大学には希望を見出せません。特に人文学は大学の中で肩身の狭い思いをすることを強いられている。そんな状況の中で自由な学問などあり得るべくもありません。そういった形で現れてくる大学の危機と、私自身のロシアとつながっていたい(そのための勉強を続けたい)という欲望が、「新しい大学」というひとつの妥協点を見つけたのだろうと思います。

ジャック・デリダは『条件なき大学』という本のなかで条件なく生じる、別の仕方であるような大学について語っています。「条件なき大学は、当の無条件性が告げられうるいたるところで生じ=場をもち、自らの場を求めるのです。この無条件性が、おそらく、(自らを)思考をうながすところならどこにでも」。デリダの考える大学は流動的で、開放的です。我々が大学に入る、のではなく、我々から大学が生まれる、または我々が大学である。荻窪からも上石神井駅からも遠いスペース「あなたの公-差-転」でこの「ソビエトアート」のレクチャーが開かれていますが、11月に初めて参加したときに、わたしは「これが、あの条件なき大学の場だ」と思いました。大学は終わってしまいつつある。それならば、もう一度自分たちではじめればいい。このレクチャーシリーズは、こういう考え方の上でも大きなインスピレーションをもらうことができる場です。そこでは参加者はみな床に座り、お菓子やお茶などを飲みながら、時に質問を投げかけつつ、時にくっちゃべりながら、講師の話を聞く。そこにはヒエラルキーが存在せず、ただただ自由な雰囲気があります。こうした開放的な相互コミュニケーションのある空気のなか、行われる勉強は、理想的なものに思えます。これは「大学」だ、そう私は思います。制度の以前の、学ぶことへの純な喜びが担保する場としての大学。

それはさておき、以下に今後どんどん更新する形で、アーティストのリスト・レクチャーメモ等をアップしていきたいと思います。
ロシア語での人名表記の後につけた★をクリックすると、参考画像を見ることができます。

投稿:2016年12月31日
最終更新日:2017年3月27日

※スペース「あなたの公-差-転」(杉並区善福寺)のHPはこちら→http://kosaten.org。レクチャーシリーズ「鉄のカーテンの時代の反社会的なソビエトアート」は全10回の予定。基本的には毎月第四木曜日の19:30から開催されるが、詳細はHPで要確認。
これまで/今後のレクチャー日程については、http://kosaten.org/sovietart/を参照してください。

30 12月 2016

ロシア思想2016

公開日:2016年12月30日
最終更新日:2017年3月27日

今年やりたかった勉強が3つあって、それは10月10日にツイートしているとおり→①コスミズム界隈の地図を把握すること(ロシア思想の概略をさらうこと)。②ソ連崩壊前後(80-90年代)のアート、思想、音楽界隈の地図をつくること。③現代詩人リストの更新、訳の継続。 というこの3つです。ここ半年はだいたいこの3つの目標に沿って、自分で自分に対して大学をやっていたのでしたが、今回はそのうち①ロシア思想のまとめ的なところの読書を総括するためにこの記事を書くことにします。