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ザボロツキーの詩

夢 この地に棲まって五十年
皆と同じく 幸せ半分不幸半分
そんな私がある日この世におさらばし
気づくとそこは秘密の場所であったのだ

そこでは人間は習慣の
最後の残滓として存在するのみ
だがもはや何ものも望まず
通り名もなければ呼び名もない

驚くべきゲームの参加者である私は
退屈しきった顔の数々にまじまじと見入ることなく
そこで燻る焚き火に身をまかせ
起き上がったりまた横になったりした

私は泳ぎ離れていった 私は遠くへ彷徨い出ていった
行先を決めかね 無頓着に 黙りこくって
そして消滅した地の鋭い光は
悠々と差し出された手で拒絶するのだった

存在のある種の余韻を
生存のため 私はまだ手元に残していた
だが私の心の全体がすでに
心でなく 宇宙の一部にならんとしていた

そこで空間の上を私に向かって動いてきたのは
雁字がらめになった何かの物質(マテリアル)
眼では捉えられぬほどの高み、
崩落の多い谷間の上に橋がかかっていた

私は外見をよく目に焼きつけた
空間から泳ぎくるこうしたあらゆる物体がもつ外見を——
交錯する梁 敷石の隆起
原始の装飾品の仕上げの粗さ

精巧さはその痕跡さえ見受けられないし
形(フォルム)の技芸などそこでは明らかに尊重されていない
表立ちはしないが、仕事は困難である
世界全体が動き、働いているのだけれども

彼方の権力の振る舞いの中に
私はほんの少しの強要も見なかった
そして私自身 自由意志もなく欲望もなかったが
必要なものはすべて努力なしにつくることができた
何かを欲さない理由があったわけではない
何かをしようという望みもなかった
もっと先へと彷徨ってゆく準備はできていた
もしそれが何かの役に立ち得るのならば

私と一緒に誰だか坊やが彷徨い歩いていた
下らぬたわ言を私とぺちゃくちゃ
この霧にも似た坊やでさえ
精神的と言うよりむしろ物質的であるのだった

私と坊やは湖に向かった
坊やは釣竿をどこか下方に投げ入れ
地より飛んできた或るものを
焦りもせず手で脇へ押しやったのである