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アンナ・アリチュークの詩

十二のリズミカルな休止 1984-85

一、(G.Ts.に) 雨、彷徨い
ぽつねんと、鏡の岸辺佇み
海の羽毛をもつ鴎たちの歔欷のなか
動きを止める
  砂のうえに浪はなだれ落ちない
そして赤い筆のなか太陽が砕け散る

百回ほども筆跡の波が打ち寄せ
遠くへ 悲しみになってこぼれ散った
          黙りこんで散歩する悲しみに

二、 時間の蜘蛛の巣に捕えられた焔の野つつじ
びっしり走ったこの葉脈の虜
大気の刺すような眩いばかりの戦慄のなか
花輪の衣服の、風との戯れ

このように手をかたどった陶器は消える
掌のなか遠方の貝殻となって……

三、 スカラベたち
  それぞれの体中に渓流ながれ
彼らだったろうか 身体のまわりで
腕を流れていったのは
砂のうえに立ちながら 目にしなかったわけはあるまい
波なす髪の房が顔に打ち寄せるのを

風がつくりあげた紋理をもつ
砂丘のような花弁を

四、 エルフの身体 そしてことば
砂のうえに 蝶の耳殻

大気のなかに 泉あり
青のうえ 枝の起源に脈うつ
(根のほうに向かわぬ川)

木々が飛んでゆく……

五、ミニュアースの娘たち こだまによって嚇しつける蒼穹
          すっと貫く葦笛
草叢=広間で
眼のなかの琥珀の豹の
           そして
壁がこんなにも薄くなってゆく
          鳥たちが飛びくる
葡萄の蔓を振りはらい
夜明けにディオニュソスを根づかせ

諸空間の大気を熨しつつ……

六、 橡色のひと群の葉のところ
硝子の後宮で
月の梯子を長く わたしは伸びる
息づまりの水晶
空たかく砕け散り

《落陽の瓦のあいだにあって
エルフは笑いながら溶け消えさることができた》
だが月の蜂巣のなかへと陥りながら……
青みの上の天使的な? 友情、それは――
(神話にいう
  すもものような
   天国の樹の溶岩)
目を釘付けにする物ものの発光へと連れ去ってゆくこと

七、雨 石のうす煙り…
葡萄のなす穹窿が照らしだされる
アーチの切り立った調べに

八、 燈明の大伽藍
昏い枝を鴨が揺らした
湖水上の空で

九、 幼時の紙片の
    翼をひろげた
船はしおれた蝶のほうへ

ただ今より

熱心さ と 雨
野ばらの大好きなひと滴

空から落ち……

十、 誘われるような草の海
生命樹Thujaの孤独

陶器のカタツムリは灰まみれだ
部屋の植物を這いのぼる
伸びゆくバイオリンのような
フルートの

澄みわたる空

十一、 硝子で触れつ
何十億もの月の飛沫
腐敗の
   その瞬間
去っ…