ルィ・ニーコノヴァ(アンナ・タルシス)の詩

あまりにも
空に
たくさんの雲 ―― 堪えがたい

1962

◆静物画

ライオン ライオン と ライオン

1964

ネズ ミが
ひと くみ

1965


 ら
  さ
   き
    い
     ろ
      の
む ら さ き

1965

白痴だらけのこの世界ではみな白痴だ
白痴は一人ひとりそれぞれに歩いてゆく

白痴だらけのこの世界ではみな愛国者だ
愛国者は一人ひとりそれぞれに歩いてゆく

白痴はそれぞれ各様に暮らしている

この世界で
この世界では
みな――白痴だ

1965

そこに縄が巻きついているとき
 そこからは引っ張ってくるようなものは何もない

1966

蠅 は い な い

1966

◆“ドキュメンタリー”詩シリーズ『アミン』(1969)より

公園で座っている
足をぶらぶらさせている



背中が凍えそう



テーブルが
覆われた
白いテーブルクロスで

◆シリーズ『トートロギヤ』(1969)より「1917年十月」

十月
十月 と
十月

リズム と鶴の感覚
水牛  と垣根の感覚
感覚  と二月の
感覚
頭飾りがもたらす感覚

1969

◆1970年


いち に
いち に
いち に
いち に

1970

ぐんたい くんくん

1970

静まり まり まり まり
だまり まり じめじめ=しめしめ
そして落ちる 落ちる
そ、それからどっかに どっかにいく

1970


はなして
はなして
   軽やかにはなす

1970

コ ン
バ イ ン

1971

バ ケ
 ツ

1971

◆風景

ストッキング
ストッキング
ストッキング
毛糸玉
毛糸玉
穴あきボートのある川岸
      ボート

1972

おまとりょーな
ちもふぇーゆゔな
あまとりょーしゃ
ちぇみゃふぇーゆちか
うむとりゅーんな
ちみふぃーいちこ
きんぴかーちゃん
こぺーいか銭のように

わたしに尋ねて
ぺーちかから降りるわ
ぺーちかを追って出ていくわ
がちょうを捕るわ

そのがちょうは飛びたたない
開かれないし
ばらばらにはならない、ぺーちかは
ただわたしは出ていくだけ

お、まとりょーにゅしか
ちもふぇーゆしか
あまとりょーなちか
ちゃまふゃーしゅにか

1973

暗やみの中でランプの輪郭が暖まって
重苦しい時の梟が手のひらに降りてくる
手がそっと揺れ 嵌めた腕輪に呼吸が重くなる
心配しないで――穏やかに息をして
呼吸を鍛えて
呼吸は
まだこんなに役だつのだから

1975

◆パリのロシア公爵たちへ

あなたたち
  穢された嘘へ…
苛立ったパリを
包みこむような
織物に捧ぐように
わたしは余暇を捧げよう
至るところ駆けまわる《祖国》の
手のひらで握りしめられた余暇を…

1979


*ルィ・ニーコノヴァ(Ры Никонова)=アンナ・タルシス(Таршис, Анна Александровна. 1942-2014)。

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