02 3月 2017

ゲンリフ・サプギールの詩

声、声

ほらあそこで人が殺された
ほらあそこで人が殺された
ほらあそこで人が殺された
下の方で 人が殺された

行ってみようぜ、そいつを見てみよう
行ってみようぜ、そいつを見てみよう
行ってみようぜ、そいつを見てみよう
行こうぜ。そいつを見てみよう

死人だぜ—死人みたいな恰好してさ
いやあいつは寝てるんじゃないか、死人みたいに飲みやがってさ!
そうだな、死んでない、けど死人みたいな成りでさ…
なにが死人だよ、死人みたいに酔っぱらっただけだろ—

ゲロまみれで寝てるぜ…
ゲロまみれで寝てるぜ…
ゲロまみれで寝てるぜ…
...........................................

手と足を持ってくれ
手と足を持ってくれ
手と足を持ってくれ
手と足を持ってくれ

こいつを中庭に運んでいけ
こいつを中庭に引きずっていけ
そいつを中庭に放り出せ!
そいつを中庭に追い出せ!—

そしたら入口の扉を閉めろ
もっとしっかり扉を閉めてくれ!
すばやく扉を閉めてくれ!
錠をぜんぶ下して扉を閉めてくれ!

やつはどうだ、喚いてるか、黙ってるか?
やつはどうだ、喚いてるか、黙ってるか?
やつはどうだ、喚いてるか、黙ってるか?
やつはどうだ? 喚いてるのか、黙ってるのか?…



      入口のランプがチカチカしてるぞ!

独りぼっち

そこ 床のうえに 倉庫の棚のうえに
屋根用の厚紙、釘と ―いったい誰に必要なのか―
シャベル、のこぎり、斧、
ハンマー、つるはし、それからバール。

瓶とコップを 樽の上に!
ウォトカを飲む もの言わず 独りぼっちで。
シャベル、のこぎり、斧、
ハンマー、つるはし、それからバール。

眼鏡は額に。見えづらそうに
目を凝らす。妻だって? 昔はいたっけな。
シャベル、のこぎり、斧、
ハンマー、つるはし、それからバール。

目を凝らす―目が細くなる
歪んだ歯が剥き出しになる
シャベル、のこぎり、斧、
ハンマー、つるはし、それからバール。

とつぜん工具が2倍に増えた…
すべてが跳ねてぐるぐる回る:
シャベル、のこぎり、斧、
ハンマー、つるはし、それからバール。

もういい!たくさんだ!うんざりした。
おとなしく横になってろ。頃合いを待て。
シャベル、のこぎり、斧、
ハンマー、つるはし、それからバール。

起き上がった。納屋から出る。
錠前を掛け、扉を閉じる
シャベル、のこぎり、斧、
ハンマー、つるはし、それからバール。

月。森。巨大な建築現場。
バラック。老いぼれは寝台で寝いる。
シャベル…のこぎり…斧…
ハンマー…つるはし…それからバール…




知らないものが 知った様子で
そっと触れた。気だるさが
戦慄が 熱狂が
罪の意識が
何らかの機関が。

廊下は
殺風景だ。
執務室は
ぜんぶ
開け放してある。
女は部屋に入るが
誰もいない。
寄木細工の床。
境目の向こうへ
そして空虚へと飛びたつ。
大気のなか肉体が滅んでゆく。
あ、あ、あ!
接吻したのは
やわらかい卵形の
お腹。
あ、あ、あ!

地下ホールで遠く反響する。
眠っている、座っている、駅にいるように
人びとが。
隣の人は包帯でぐるぐる巻き。
顔に巻かれた包帯は、白いフレームのよう
怖いほど彼女を知っている。
注意深いまなざしが見つめている!

耳のなかで金属の音がする
口のなかは金属の味が…
あ、あ、あ!
彼女は飛びたった。
大気のなか肉体が滅んでゆき
雲が広がる。
遠くの方から:
あ、あ、あ!

しずかだ。
暗闇。
心臓の鼓動。
とつぜん
貪欲な聴覚が聞きつける:
地下深く 玄関で
ざわめく音。
急な階段には
足音が。
闇にまぎれて近づいてくる
足音が
大きくなる 敵のような
足音。
ほら歩調が乱れた 確信がなくなった―
闇のなかで足音たちは扉を探し求めている。
扉が開け放たれた:誰もいない―
霧、そして雲の繊維―
空っぽだ-あ!―

(機関には100の扉
罪をつくりだすこと
フレームのように 顔は包帯でぐるぐる巻き
雲のうえを飛んでゆくこと…)

あ、あ!

ベッドが壊れる
ベッドが壊れる
ベッドが壊れる
ベッドが壊れる!



未来の戦争

ドーン!
...
...............................................
...........................................
.........
......
................................
.......................
...........................
.........
.......
...
......
....
...
...
....................
.....................
...................
...............
............
.........................................
.........................
無事か!?!



ナイフをどけて、どけてください…
あいつはいい人間だよ、いいやつだが…
たった一つの欠陥は、頭に穴があることだな…
出撃だ、野郎ども
バンザーイ
ワーシャ?
え?
叫ばないでよ
いびきもやめて。
寝ろよ…
かわいいね、愛してるよ
きみのすべてを…。
やめて、放してよ、もういいわ…
よくない!
よくない、よくない、よくないだろ!
ヴェーラ、イーラ、リーダ、アーダ…
弾が弾けて角(ウーゴル)に―
ゴール!
みんな、空に昇れ!
蛙のような女め…
お願いだ、ゆるしてくれ。
愛してるよ…
無限からなる根は
ゼロに等しい…
いびきをやめて またいびきしてる!
寝ろよ。
寝たの?


*Сапгир, Генрих Вениаминович (1928-1999). Из сборника стихотворений «Голоса» (1993).



0 コメント:

コメントを投稿