06 6月 2016

ウラヂーミル・ブリチの詩

もしかしたら
世界は はじめは
白黒だったのかも

聾唖の自然が
色の力を借りて
ぼくらになにかのしるしをくれたのだ

それで ぼくらは
彩りのあるふぁべとをかき混ぜた
地面に
水に
空に 色を塗って
不思議はまだ 残ったままだ



明日になにを期待する?

新聞を。



そして バイオリンの国が
鍵盤で 埋め尽くされる

ヒューマニズム

バスは 人のいるところに来るのではない
バスは バス停にくるのだ



ロシアの10月は
変革の秋(とき)だ
雪は
血の滴が目立たせるため 降るのではない
花は
真新しい墓石を飾るためにあるのではない


眠りは
非在の甘い滴
死よ、おまえはどんなだ?


生きることは
閃光だ 盲人の
白状が パチリと点てる



夜 窓に映った 自分を眺める
そして 見える
自分がそこにはいないのが
そして わかる
わたしには存在しないことができるのだ




※ウラヂーミル・ブリチ(Владимир Петрович Бурич、1932-1994)は、ソ連の現シャフトィ市(ロストフ・ナ・ドヌー市近郊)で生まれ、ウクライナのハリコフで育った詩人。ロシア語による自由詩の草分けとされる。20世紀ヨーロッパ詩の翻訳も多数。平易な語彙と、ユーモラスな口調、俳句にも似た短いアフォリズム形式の詩を多く書く。マケドニアのストルガで死去。

0 コメント:

コメントを投稿