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TRIVAマニフェスト

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TRIVAマニフェストを以下に訳出する。

TRIVA(ТРИВА)は、70年代終わりから80年代はじめという一年にも満たない期間、ノヴォクズネツクに存在したソ連最初の公認写真家集団。Владимир Воровьёв(1941-2011)、Александр Трофимов(1948-)、Владимир Соколаев(1952-)の3人からなる。グループ名は、メンバーの名前から取られた。
ドキュメンタリー写真を特徴とする。ソ連のあらゆる集団と同様、マニフェストを持っていたが、それについては以下に読んでいただける通りである。 作家がまったく手を加えない「純粋なドキュメント」にこだわるあたりが、デンマークでラース・フォン=トリアーが結成したドグマ95と類似しているということが指摘されている。
グループとしての活動期間は短かったものの、メンバー3人はグループ解散後もそれぞれ写真家としてのキャリアを歩んでいる。
近年でも時々ロシア国内外問わず、展覧会があり、筆者がペテルブルグに留学していた2013年にも「マニフェストTRIVA」という展覧会が現代美術ギャラリーで行われていた。
・メンバーの一人ソコラーエフ氏の写真はこちらから見ることができる。 http://cameralabs.org/9639-epokha-razvitogo-sotsializma-v-velikolepnykh-fotografiyakh-vladimira-sokolaeva ・TRIVAについて、ソコラーエフ氏のサイトより。 http://sociophoto.narod.ru/TRIIVA/TRIVA.htm ・マニフェストの原文はこちらから。 http://www.ncca.ru/articles.text?filial=8&id=263

* * *
写真の特性は、三次元空間での出来事をまったく申し分なく写真板の平面上に表現し、二次元的なコピーである「フォトドキュメント」をつくることができるという点にある。このようにして「出来事」と写真撮影との間に結びつきが作りだされる。「申し分なく表現する」ということこそは「写真」のユニークな特質であって、そのことによって写真は人間の歴史の中に物質化した「リアリティ」を保存する力を有した、理想的な道具となるのである。それに負けるとも劣らぬ「写真術…

ボリス・パステルナークの詩

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2016年5月30日更新

他の人を愛することは 重い十字を背負うことだ
あなたはまっすぐに うつくしい
あなたの魅力の その謎は
生きることの 謎解きにも等しい

春 あの夢この夢が擦れちがい さらさらと音が聞こえる
知らせと真実のささめきも
そうした原理(アルケー)の族の生まれなのだ、あなたは
あなたの存在する意味は 大気のよう 欲にとらわれぬ

ちょっとしたことで夢から覚め 目を開けること
取るに足らぬ埃のようなことばを こころから払い落とすこと
そしてこれから先 埃で汚れぬよう生きること
こうしたことはぜんぶ 狡猾さとしては些細なものである

* * *

二月だ。インクをとって 泣け!
二月について さめざめと 書くんだ
ざあざあ とどろく みぞれが
黒い 春になって 燃えているうちに

馬車を呼ぶんだ。 六十コペイカで
教会の鐘の音を抜け 車輪の軋む音を抜け
あそこへ駆けていくんだ 激しい雨が
インクと涙よりもまだうるさく音を立てるところへ

焦げてしまった梨のように
幾千ものカラスどもが 樹々から
水たまりに落下し 目の奥底へと
乾いた悲しみを ぼろぼろ崩すところへ

その悲しみの下 雪の融けた地面が黒ずんでゆく
風は 悲鳴で ずたずた
手の向くまま だがそれだけ 誠実に
詩が さめざめと 書かれていく

* * *
詩人の死
嘘だと思った 「ふざけたことを」と思った
2人、3人 と言わず みなから
知らされることとなった。日付の止まった
詩の一行のなかで 同列に置かれていたのは、
女役人の家 商家
中庭 木々 そして 日差しのせいで
ふらふらになりながら 激高したかのように
「馬鹿ども もう決して
罪つくりに嘴を突っ込むなよ」と
叫びたてていた 木の上にとまったあのカラスたち。
そしてその日は
つい近ごろのことのよう。つい1時間前のような。一瞬だけ 前のような。隣の屋敷、隣の
垣根、木々、カラスの騒がしさ。 ずたずたになった引き網の網目のような
涙にぬれた断層が 顔のうえだけにある。

そんな日、無邪気な日だった、あなたが過ごした
昔の何十もの日々よりもまだ無邪気な。
ひとは群がって、我先にと列をなしたのだった
まるで銃の合図で 整列させられたみたいに。

魚雷の爆発があって もみくちゃになって 鯉やらカマスやら 排水溝から吐き出されたみたいだ
スゲの茂みに仕掛けられた…

ロシアを読むサイト集

公開:2013年6月16日
最終更新:2018年3月25日

◆リアルタイム・ロシア 下の二つは、要チェックです。Coltaはロシアの、Calvertはロンドンベースのポータル。
・Colta.ru(ロシア語)
http://www.colta.ru

・The Calvert Journal(英語)
http://calvertjournal.com

◆ロシア語学・言語知識 ・Словари и энциклопедии на Академике(アカデミック辞書・百科事典)
http://dic.academic.ru/
ロシア語の専門辞書をあつめたサイト。ホームページから一括検索可。スゴい。

・Викисловарь(ウィクショナリーロシア語版)
http://ru.wiktionary.org/
Wikipediaの辞書版。単語ごとに変化表が全部載っています。辞書にないとき、変化に迷ったときに。

・ロシア語ガイド・翻訳・通訳に使える辞典・参考書(さとう好明さん)
http://lampopo4.style.coocan.jp/honnyaku.htm
中級以上の参考書選びの参考に。読みにくいが、主観的な感想がありがたい。

◆通販サイト ・Ozon.ru
https://www.ozon.ru
アマゾン未上陸のロシアにおける最大手の通販サイト。

・Ruslania
https://ruslania.com
ロシア関連の書籍・教材・CD・DVD・ギフト等を扱うフィンランドの通販サイト。[私が使った時は送料35.10ユーロ(エコノミー)。発送から1週間もしないで届きました(2018年5月)。]

◆文学・文化 《日本語で読む》
・現代ロシア文学(北大スラブ・ユーラシア研究センター)
http://src-home.slav.hokudai.ac.jp/literature/literature-list.html
北海道大学のスラ研HP内のページ。現代のロシア語作家について簡単な紹介や論考、抄訳が掲載されています。初見の作家について概要を知りたいときに便利!(最終更新は2010年)

・鈴木正美先生のwebサイト
http://www2.human.niigata-u.ac.jp/~masami/
現代ロシア文化が専門の鈴木先生のホームページです。

・文芸翻訳者向けキリスト教実践講座
ht…

ドミートリイ・バーキンインタビュー

ドミートリイ・バーキン(ドミトリイ・バーキン、Дмитрий Геннадиевич Бакин)は1964年生まれのロシア語作家。公に出ることを嫌い、作家について詳しいことはほとんど知られていない。写真も一枚くらいしか残されていない。実質的なデビュー短篇集『出身国』(1996)は、同年のアンチ・ブッカー賞を受賞したが、作家が授賞式に現れなかったエピソードは有名である。作家本人は、本職はトラックの運転手であるという姿勢を頑なに固持し、この濃度の高い異様な短篇集の他には、『死から誕生へ』(От смерти к рождению)という仮タイトルがつけられた長篇の断章と、幾つかの未刊の短篇(インターネット上で読むことができる)、そして死後に出た『転落について、破滅によって』(Про падение пропадом, ISIA Media Verlag UG, 2016)という未刊/未完の短篇・長篇やインタビュー、手紙、作家本人によるイラスト、批評家や研究者によるテクストが集成された本が遺されているばかりである。短篇集『出身国』はなんと2015年についに日本語になった(秋草俊一郎訳、群像社)が、その直後にバーキンの死が伝えられた。作家の手元に送られた日本語訳を作家が手にすることはついになかった。
以下に訳すのは、前述の『転落について、破滅によって』にも収録されている、バーキンが生前に遺した唯一のインタヴューである。もっとも、記者がバーキン本人に面会することはなく、やりとりは手紙でなされた。
(*ちなみに日本語版『出身国』は2015年12月時点で、400部売れただけという・・・(参考)。河出のソローキン買うお金を群像社に!)
* * * ドミートリイ・バーキンインタビュー 2008年@『VZGL'AD(ヴズグリャート)』誌
http://www.vz.ru/culture/2008/8/3/192512.html

*文中[]内は、訳註である。

ドミトリイ・バーキンは、最も奇妙で謎多い現代ロシア作家の一人である。15年ほど前、バーキンは薄い短篇集一冊を「鳴り響かせ」たが、その本は好意的な批評を得るとともに、ヨーロッパ諸言語に翻訳された。

すでにその頃にはバーキンは公に出ることを敬遠していた。『OGON'OK(オゴニョーク)』誌の叢書のなかで出版されたバー…

アレクサンドル・ソクーロフ監督インタビュー

2016年は「映画の年」とのことで、ロシアでは文化省主導で色々な催しがあります。以下に訳出するのは、「映画の年」公式HPに掲載されたアレクサンドル・ソクーロフ監督のインタヴューです(元記事は、「イズヴェスチヤ」紙の2016年3月16日の記事)。新作『フランコフォニヤ』(Франкофония; Francofonia)の日本公開が待たれます。 出典はhttp://god-kino2016.ru/2016/03/19/sokurov_interview/です。
アレクサンドル・ソクーロフ:「啓蒙の道を拒絶したとして、ロシアがより良くなっていただろうなんて私は思いません」
ソクーロフ監督の『フランコフォニヤ』が公開された。ロシア国内40以上の町からの観客が、この映画を鑑賞した。実話に基づくフィクションといった趣のエッセーのなかで、監督はヨーロッパとロシアの宿命について論じている。「イズヴェスチヤ」紙の特派員、E.アヴラメンコがソクーロフ監督にインタヴューした。
[訳注:S*はソクーロフ、A*はインタヴュアー(アヴラメンコ)]


A*監督、あなたは『フランコフォニヤ』がロシア国内で公開されることを危うんでおられました。ところがいま、この映画はロシア全国150の映画館で上映されるだろうといわれています。


S*いまのいままで『フランコフォニヤ』がどこで公開されるのか、全体図を知らないままなのです。ヤロスラヴリでもカフカス地方でも極東地域でも北方でも上映されるのでしょうか? 疑わしいですね。「シネマ・プレスティージュ」社の代表たちは、このことについて詳しく話してくれませんでした。もしそういう情報が同社から届いたなら、ありがたいことです。私はただ一組の上映について知っているだけです、3月17日にはモスクワでプレミア上映があります、それは知っています、招待されたのですから。でもいま私は大変厳しいロシア東部への出張旅行から帰ってきたばかりで、とても疲れています。休息を取らねばなりません。またすぐ旅行の予定もありますし。

先だって[編注:ペテルブルクの映画館である]「アヴロラ」での上映に出席したのですが、上映は大成功でした。満員御礼で入場できなかった人もいたくらいです。しかし自分をごまかしはしません、何回か上映を重ねていくうちに観客の状況が変わることもあり得ると知っているからです。『フラン…