04 8月 2013

エレーナ・シュヴァルツの詩


灰色の日


胸騒ぎの中せっかちに話していた
時間が少ないから
稲妻が光っている間、身震いしつつ
のろのろと、逃げ回っていた
それともこれはわたしの血だったのだろうか
この静かに衰えてゆく存在は?
もう入って行く頃あいだ
神さまの芥子粒のなかに。
わたしの「父の家」教会では
いま全てが使い古されている
「父の家」教会では
天使たちがみな泣いている
時々天使たちは
メランコリックになることがあるものだから
どこかの疲れ果てたやせ馬のせいで
灰色の日に、
わたしは地上で生きていた
ぼんやりとした日に、
自分の勝利の時がある
たぶん聖霊も近づいてきて眼にとめるだろう
見ることなしに聖霊を見ることはできるもの
彼らの貧しさを喜びなさい、この斜陽を呪うなかれ
わたしたちのところにキリストがいらっしゃるのだとしたら
それはそういう貧しい日にこそいらっしゃるのだろうから

(1989、詩集『夜の航海図』より)


よくある間違い


焼却された古文書のところを
カラスどもはぐるぐる舞い飛ぶ。
黒めいた灰色の通りを
まったく太陽は気にもかけない。
コーヒーのせいで人びともぐるぐる
街の集会のなかで。
この「日」は新兵さんのようであり、
乾いた涙を見つめている。
日々が、そんな風な日々が、過ぎて行くのだ
「死」のときも「生」のときも
双子たちと一緒にあなたのほうに近づいて行く
見なさい、間違いのないように。
「生」と「死」の双子はただただ見つめる
彼が羽織った青がかったコート、
トルジコフスキーの手になるコートを
そして若い女性は2人とも舶来品風のものを。
口紅を塗った思わせぶりな唇
小さな腕には腕輪をはめて。
そしてわたしは彼らのうち一方に言うだろう
瞳に春を持つほうの者に
「もちろんあなたは(それでも)
「生」のほうなんだわ
あなたは物惜しみしないけど
貧乏なんだから」
しかし突然わたしは見た、
彼が骨に何か輪っかを持っているのを。
そして膝の上に乗って
わたしはもう一方のひとに言う
「愛する人、許してちょうだい!」
しかし心臓のなかでは
すでに恐怖が歌っている
刃の鉄ががちゃがちゃ言っている。
「言葉」は紙を焦すことはないが
端っこを黄色くはしてしまう。


1974


*エレーナ・シュヴァルツ(Шварц, Елена Андреевна、1948-2010)は亡命詩人で、最初の詩集はニューヨークで出版されている。ロシア国内では地下出版によって名が広まり、国際的にも成功したロシア詩人の一人である。彼女の詩はキリスト教的な背景を基礎に神話的世界を漂う。

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